「日海~。ひまなんだけど~」

ひまでひまで仕方ないから、日海を呼んだ。

「…そうひまと申されましても…」

「なんかしよ?どうせ日海もひまでしょ?」

見たところ、ひまそうにしていた。

「まぁ…ひまですけど、だからといってやることもないですし…」

うーん、そうだよなぁ。

何か、やれること…。

あ…。

「日海の好きな人、教えてよ」

「なっ…んなぁぁぁ~!?」

おお…。

日海が真っ赤になってるとこ、初めてみたかも。

「姫様っ!なななぜ、私のす、すすすきな人など!?」

動揺してるなぁ…。

と、いうことは…。

「いるんだな、好きな人」

にやにやしながら、尋ねる。

「………いますよ」

おおっ、やっと白状したか!

「誰!?あたしの知ってる人?」

日海が好きになる人か…。

どんな人だろ?

「…まぁ、覚えておいででしたら姫様も知っているかと」

知ってるのか…。

覚えている…ってことは、昔のことかな。

「誰?」

「……私の許嫁です」

真っ赤になりながら、言ってくれた日海は女の子で。

「……かわいい」

「んなっ…誰がですか!姫様のほうがよほど可愛らしいですよっ!」

「そんな真っ赤な顔で言われたって、説得力ないって」

あたしは笑いながら返した。

あたしが可愛らしいなんてこと、有り得ないよ。