「…そうですね。仕事でなければ、あなたを嫌っていたかもしれない」

「……っ…そう。じゃあ、もういい。稽古もつけてくれなくていい」

…終わった…。

やっと…。

凜が、立ち去ろうとしている。

これが、俺の望んだこと。

…の、はずなのに。

「……凜姫様」

なんで…。

なんで、凜を呼び止めた?

なんで…俺は…。

何を、言うつもりだった?

何を…。

「…なに…」

凜は、止まってくれたけど、俺が何も言わなかったから。

「もう、行くよ」

「…っ……はい」

行ってしまった…。

これで、よかったんだ。

だって、俺…。

言いかけてしまったから。

━━お前が好きなんだよ。だから…行くな━━

って。