六花の約束

次の日。

俺が朝早く稽古場に行くと、津田様がいた。

「おはようございます。…早いですね」

「ああ、おはよう。凜姫に手合わせしてもらうんだ」

…嬉しそうだな…。

凜と手合わせねぇ…。

凜が勝つでしょ。

思うけど、そんなこと言わない。

「…そうですか」

それだけ言って、稽古を始めた。

すると。

「おはよう、凜姫」

…え?凜?

なんで、こんな朝早くに?

凜は、朝が苦手なはず…。

「おはよう。いつもと違う場所で、寝れた?」

普通に話してるし…。

あ、そうか。

早く津田様に会いたくて、頑張って起きたのか。

…健気…。

喜ばなければいけないことなのに。

津田様が恨ましくて仕方ない。

…あほか、俺は。

嫉妬してどうする。

これが、凜の幸せのためなんだ。

「おはようございます、凜姫様」

「おはよう。今日も、稽古よろしくね」

いつもと変わらない、凜の表情。

「……はい」

本当は、稽古なんてつけたくない。

凜と一緒にいたら、俺…。

この想いを、凜にぶつけてしまいそうで…怖い。