あの夏の君へ






「ごめん。何にも感じひん」

正直に彼に伝えた。

すると彼は抱き締めるのを止め、階段に座り込んだ。

「じゃあ、真面目な話しようか」

彼は私から目を離さなかった。


あ、本気やったんや…。

今更ながら思った。

「亜樹ちゃん、好きな人は?」

「いいひん」

「嘘」

「本間に」

「じゃあキスしよ?」

「はぁ…?何でそうなるん?」

「好きな人おらんなら、しても良いやん。軽いやつにしてあげるし」


それとこれとは話が別やろ?



けど私は自分の中にあるモヤモヤを埋めたかった。

隠したかった。

消したかった。

忘れたかった…。