あの夏の君へ






「止めて。荻が死ぬやん」

「冗談」

「冗談きついし…」

階段を一段ずつ下っていく。

真後ろにある彼の体が私を後ろから包み込んだ。

「じゃあこっから冗談抜きね」

「それもきつい」

「好きやねん」

「…」

いくら言われようが、心は揺れない。

何でこんなにも揺れないんやろう。

ふと天井を見上げた。

「亜樹ちゃん…好き」

「うん」

「大好き」

「うん」

「俺のものにしたい」

「うん」

「本気で恋した」

「うん」

どんなに言われようが、心は揺れない。

どうして?

私は人間やんな?