『もしもし…亜樹??』



声が聞こえた直後、一気に涙が込み上げてきた。

時間は…九時を回っていた。

「荻…ごめん…ごめんなさい…」


迷惑をかけたくない。

邪魔をしたくない。

荻が疲れてんのは分かってる。

そんなこと頭では分かってる。

だけど………声が聞きたくて…しかたない。

『どしたん?亜樹』

「荻…」

『ん??』

「……ひ…久しぶりやね!?」


会いたいとは言えへんかった。