「ごめん。本間に荻しか見れへんから」 近づいてくる彼に目を背けながらその場にいられず、逃げ出した。 いつもそうやった。 新井田の前では、新井田には勝てなかった。 見つめられたら、反らしたくなる。 追いかけられたら、逃げ出したくなる。 捕まれたら、振りほどきたくなる。 真正面から闘ったり、挑んだり出来んかった。 真正面から挑んだら、きっと負けるんが分かってるから。 教室に入ると、荻は誰とも話さずに、黙々と勉強をしていた。 「息抜きもすればいいのに」 近づいて声を掛けた。