『分かりません…ただ意味もなく廊下を行ったり来たり、ホールを捜したり、途中で自分でも馬鹿らしくなって…そしたら廊下の向こうから誰かが歩いて来るのが分かったので咄嗟にカウンターの陰に隠れました』

『それが藍原未音さんだった?』

『そんな名前だったかな?よくは知りませんけど眼鏡をかけた茶髪でショートカットの可愛らしい女の子ですよ』

『彼女の様子は?』

現在まで第一発見者という事になっていた未音からの証言を思い出しながら鬼頭はペンを走らせた。

『可哀相にパニックになってましたよ。声にならない悲鳴を上げた後走って部屋に駆け戻って行きましたから』

未音の証言とほぼ一致する事を確認した鬼頭はつまらなさそうに手帳を閉じた。