『樹君はあれでしょ?未音は…ちゃんと喋れてたよ。でも真っ直ぐ歩けてなかった。康太君と弓暢先生は強いからねぇ、殆どしらふだったかな』

『そっかぁ…で、帰ったのって何時頃だった?』

『えっ…と3件目の何とかっていう店出た後に樹君がゲボッてなっちゃって帰ろっかって事になったから…12時過ぎだったと思うよ。私が帰ったの12時半だったもん』

紗英も未音同様市内にワンルームマンションを借りている。

実家は隣の那智勝浦町なので週末には帰ってるが普段は気ままな一人暮らし。

『それでさぁ、此処だけの話なんだけど聞いてくれる?』

『どしたの?』

『さっき目が覚めたらさぁ、部屋の中がぐちゃぐちゃなの。まるで泥棒が入ったみたい』