恋とは、自分が主人公で。 愛とは、相手が主人公。 そう、彼は言っていた。 ……彼の幸せを誰よりも願って身を引いた私は、 あなたを愛していたことになるのだろうか。 「―…せんせーいっ!」 ビクッと、身体が震えた。 補習中にも関わらず空想にふけっていた私は、声をかけられハッとする。 『な、なぁに?水無月くん。』 ―…上園 美優。 大学を卒業して、半年あまり。 今は化学講師として、母校で働いている。