何も、変わらなかった。


黒縁メガネの先の切れ長な目も、綺麗な唇も、無造作に整えられた黒い髪も。


―…薬指にはまった、指輪も。



少しだけ老いて渋さが増した気がするけど、根本的なものは何も変わってなくて。


私の目には既に、彼しか映っていなかった。



『せんせい…。』



やっぱりダメだ、私。

その顔を瞳に映すだけで、目頭が熱くなる。



会いたくても、会いたくても、会えなかった。

どんなに想っても、想っても、届かなかった。



先生は一瞬で、私の心を虜にするから、ずるい。