口元にフェイスタオルを近づけて 息を殺しながら泣く。 授業中に泣くなんて、初めてだ…。 カツカツと先生が黒板に 字を書いていく音だけが教室内に響く。 「ひな」 「…?」 ドキッ “ひな”そう呼ばれただけで こんなときにキュンとしたあたしは 少し罪悪感を感じた。 先生の目を盗んで小声で 話しかけてきた陸。 「資料集わすれた。見せて」 「あ、うん…」 机は音を立てながら隣の机と合体した。