杏はあたしの手を振り解いて 教科書に視線を落とした。 「5分でいいの…」 「……」 「ねぇ杏っ…」 「っ!無理って言ってんじゃん!」 杏のシャーペンを持つ手が 震えていた。 いつのまにか教室はシーンとしてて あたしたちのことをみんな 見て見ぬ振り…。 あの2人仲いいんじゃないの? ケンカしたんでしょ。 って、どこかで聞こえた。 また一粒、あたしの目から涙が落ちた。