2つの大きな買い物袋のひとつを私は手に提げた。その瞬間、その重さで指にビニールが食い込み、思わず「うっ」と声を漏らしてしまった。


「大丈夫ですか? 私、持てますよ?」


「ううん、大丈夫。持ち方が悪かっただけ」


「そうですか? すみません、助かります」


「どういたしまして」


 もし私がいなかったら、高木さんは一人で持つのよね? こんなに重いのを、2つも。


「今日の買い物は多い方なんでしょ?」


「そうでもないです。大物がない分、少ない方かもしれません」


「大物って?」


「米とか、トイレットペーパーとか……」


「米!?」


 つい大声を出してしまった。だって、これに更に米って、どうやって持つわけ? 腕が2本じゃ、足りないでしょ?