ときめく。
その表現がしっくりくるのに、まさかと心でよそに飛ばしたのは何故だったか。
照れにしても、恥ずかしさにしても、それらを伴う意地にしても、結局自分は彼のせいで心が動かされてしまうのだろう。
「あぁ、もういいや……」
彼ではないが、開き直る。考えるのも面倒になり、どうせ変わることないことなんだから結論づけても何の意味もない。
ミナナの独り言に彼は首を傾げたが、気にせずミナナは髪をクシでとかした。
本来ならばドライヤーだが、たまにこうしてズボラで乾かさずにいる。
そうだから髪質が落ちるんだと分かっていても、前よりは自然乾燥の回数が減ったとなればいい兆候。
今日はたまたまやる気がなかった、明日からやる、なんて言い訳は信じられないが誰も咎める人はいないので、今日のミナナの髪は生乾きだ。


