――ベッドがいいです。
そうやって、遠回しに“彼自身を求めること”はあった。
こればかりは一人では発散しきれない。彼の体あって成り立つ事柄だ。
彼に対して執着があるわけでもないが、ミナナが唯一“欲しがった”と言えようモノは彼と見ていいだろう。
おねだりなんて、恥ずかしいことじゃないか。
「照れてる?」
「自身の恥ずかしさが身に染みているんですよ……」
そんな表情さえも出たかとミナナが彼から目を離した。
なんとまあ、思い返せば情けない。
人間本来の欲――三大欲求にしても、これは恥ずかしい。
寝たい、食べたい、とは口に出せるが、最後のアレは憚(はば)かれる。


