冬月をこうしてしまったの自分だろう。
いい兄でいたつもりだったが、本音を出せば嫌われると思われてしまう不安を持たせてしまった。
そうとは気づかずに、冬月に接し、頭を撫でる度に、弟はどんな想いだったんだろうか。
優しくする度に泣きそうになっていたんじゃないのか。膨らむ気持ちで狂うほどに、想っていてくれていた冬月を、自分は――
「堪忍なぁ、冬月……」
今までの冬月の想いを考えていたら、涙が流れた。
目から零れた滴に、冬月がぎょっとし、動きを止める。
「ほんま、ごめん……。ずっと我慢しとったんねぇ。僕のために良い子を――想いを隠して、家族としていてくれたんやね。
辛かったやろ。兄ちゃん失格やな、弟泣かせたらあかんのに。心では大泣きしてんの気づかんくて」


