「どちらが死んでも幸せだ、どちらが殺されても構わない!僕は兄さんを愛し、兄さんは僕を忘れない!
なら、早く終わりにしよう!兄さん!」
「冬月……」
いつもの冬月らしくないと思ったが、これが本当の姿だったのかと――気づいてやれなかった秋月は、感情が痛み始めた。
大人しい可愛い子だとずっと思っていた、冬月の気持ちに気づき始めた時もあったのにあり得ないと見なかったことにしていた。
冬月は良い子だと、秋月はそんな自分勝手なイメージを持ち、冬月に押し付けていたのではないか。
本音を隠し続け、こんな妖刀に利用されてしまうだなんて、救われないだろうに。


