――だって、今まで一緒にいた家族なんだぞ。
冬月とはまた違った愛情だが、決して薄いものなんかじゃなかった。
千刈刃が原因と分かった今、どうすればいいか秋月は考えたが、それは包丁を持つ冬月の右手を斬れとしか言わない。
妖怪退治屋として至極まっとうな策だ。憑かれてしまえば手遅れで、冬月の場合はまだ“右手を失うだけで助かる”。
放置していれば、冬月は完全に千刈刃に取り込まれるだろう。
首切り機械として、死んでも動き続ける悲惨な末路を送る。
右手を斬れ、斬ればいいんだ。もうそれしか手段はない。
「っ……」
冬月のためにと秋月は刀を初めて、傷つけるために振り下げたが――目を閉じてしまった。


