息を呑み込み、終わったと秋月は刀を納刀する。
唾と鞘口が重なりあった音と共に、冬月が駆け寄ってきた。
「兄さん、大丈夫っ」
「ああ、大丈夫どす。冬月は怪我ないん?」
「ぼ、僕は大丈夫……!兄さんが守ってくれたから」
「弟を守るのは兄ちゃんの義務どすえ。冬月が無事なら良かったわぁ」
何もできなかった、後ろにいただけの弟でも兄は気にかけてくれる。
無事で良かったと頭を撫でてくれる手が、幸せを痛いほど教えてくれた。
――ああ、兄さん。
恋い焦がれとは正にこんな気持ちなのか。
言えないからこそ、余計に心が秘密にした想いで張り裂けそうな。


