最初からそうだ、分かっていた。
この猫には生気がない。歩く屍みたいだ、触っていなくとも冷たさが伝わる。
「冬月、下がっときぃ」
来るならば迎え撃つ。
有り体に言えば、切り刻んだ。
折れた足ではバランスすら取れず、もうこうなれば赤子の手を捻るのと堂々。野蛮な気もしたが、妖怪は悪だと植え込んだ頭では、切る手は滞らない。
無駄なる斬殺。
斬って、斬って斬ってと、死んでも動く猫が――やっと動かなくなるまで。
「はあ……、はあ……」
肩で息をしながら、童子切安綱を横に添える。
端切れとなった肉片、包丁だけが原型を留めて、その存在を主張していた。


