ヤンデレパーティー



そもそも、猫の手であんな大きな包丁を持てるわけもなかった。化け猫という人間に近い猫にしても、包丁を取り零さなかったことが不可解な。


一緒に飛んだことから、まるで包丁と一体化しているとも見受けられる。


もしくは、それほど手離したくなかったのか。


「兄さん、猫が……っ」


冬月の声ではっとした秋月が見れば、足が折れたはずの猫が立ち上がっていた。


折ったんだ、なのに立つ。見立てが間違ったわけではなく、確実にその右足は機能しないというのに。


ず……ずず……。


包丁を引きずり、折れた脛を地につけて、ゆっくりと化け猫が近づいてきた。