「ああ、アレにも同じことを言われたよ。これには私も言い返したさ。私にとっての人間とは不特定多数ではない、“一個”なのだよ。総じて一個。人間全てには名前やら種族やらがあるが、私から見ればどれもが“同じ”なのだ。私が人間と言ったとき、それはつまり、全人類として考えていいだろう」
「平等に見ているんじゃなくて、区別をつけないパターンか」
「道端のアリを見て、いちいち区別などつけないのと同じだ。確かに数はいるが、頭の中では『まとめてアリだ』と認識しているに違いない。私はその『まとめたモノ』に愛情を持っているのだよ。何せ、人間は私の子供みたいなものだ。親が子に持つ無償の愛に相違ない」
「誰もお前から産まれた覚えはないと言いそうだがな」


