「要らない。お嬢様の一番ではない俺など要らない。憎い、ああ、本当に、どうして。こんなにも俺はお嬢様を満足させられないんだ。罰だ、罰を。お嬢様に大切にされない体なんか――」
「一番に大切ですよ、十束は」
壊れて暴走し始めた十束を事も無げに、朱耶は抱き締めた。
抱くよりは膝をつく十束を上から包むといった形に近いかもしれない。
まさかの突拍子のない異常ぶりにAはついていけなかったが、十束を分かりきっている朱耶はすぐに対処できた。
「大切です、大切。私がこんなではなければ、守りたいほどに、支えたいほどに、傍にいたいほどに」
――あなたは、不安定だから。
「朱耶、お嬢様……」


