「それは店員の一言から始まります。『あのぉ、お客様』とどこか気まずそうな、しかし顔は今にも笑いそうな唇で、例のアイスを持っていました。
ああ、笑えばいい。だからそのアイスを渡してほしいと俺は手を伸ばそうとしましたが、次の一言で、その事実で、俺は心をボロボロにされたのです……!」
くっ、と胸を押さえ、トラウマ決定ともなろう過去に自ら塩を塗るかのように語る十束は。
「『お客様、このアイスのアタリは店で交換じゃなくて、応募するんですよ』と。
正に頭が真っ白になりました。理解できずに十秒は突っ立ったまま、店員がガリガリ君リッチのアイス――そのパッケージを俺によくよく見せたときに、全てを悟りました」


