大袈裟すぎると思うなかれ、やってみれば十束がいかに苦しんだかが分かるであろう。
「しかし、割れた自尊心もお嬢様のためだと思えば、自然と堪えられた。俺がしなければ、お嬢様はこんな想いを味わうのかとお嬢様の心境を感じとり胸を痛める一方で、俺が代わりになれて良かったと安心さえもした。
ですから店員が『今取ってきますね』と俺を放置した時間――短いかもしれませんが、ひそひそクスクスの中に負けずに立ち続けていられたのはすべてお嬢様を思ってこそ。
改めて、俺にとってのお嬢様は心の支えなのだと、感動さえ覚えましたが……最後の地獄はもうすぐそこに息を潜めていました」
スケールが壮大になってきた。朱耶は分からないままでも、Aはぷるぷると震えて、歯を噛みしめ、お腹を抱えている。


