ふふ、と零れた笑いにはさすがにAもドキリと怖さの方で鼓動を弾ませてしまった。
彼女の本心、十束の前でも本心を語るだろうが、こんなにも浮き彫りには見せない本音を垣間見てしまえば――結局、彼女たちは最愛の恋人同士にしかならない。
最愛の、最上の。
相思相愛だ。
Aには理解できない、限界を越えた先にあるような相愛ぶりに、話を逸らそうと考えた矢先。
「貴様っ、Aぇ!」
ばんっ、とA登場時に負けず劣らず扉を開け放つ十束がいた。
廊下なんてないワンルーム。スーツ姿ながら、走ってきたのかどこかよれ具合があるジャケット。息も上がっている十束が一目瞭然だ。
餌を見つけた獅子のように今にもAに食ってかかりそうなほど、目をぎらつかせていたが。


