「責めたりしないわよぅ。ただ残念なだけなの。ここで諦めれば、それこそ、あなたの去年が無意味になるんじゃないかと思って」
「……、もう、それでもいいかとも思えてきたんだ」
実は、と朱耶は布団を指先で摘まんだ。
「本当は、本当なら私も進級したいよ。卒業したい、大学だって行きたいけど……全部、高望みなんだよねぇ」
高望みだなんてないとは口が裂けても言えなかった。
青白い顔で、無理に笑って、平気なふりをして、トイレで誰にも悟られずに吐いて、それでも堪えられずに倒れたときもある朱耶の虚弱ぶりを見てきた者にとって、朱耶に“当たり前の生活がない”とは分かりきっていたことだった。
他人から見る分にも無理と言えるのだ、当の人はそんな己の体とずっと向き合っているのだから、知らないわけがない。


