どうか、俺の前では“君らしくいて”ほしい。
飾らないで、責めはしないから。
素直であって、受け止めるから。
ありのままでいて、愛してみせるから。
『俺は、君の理解者だから』
そうして全てを知っても抱き締めてみせよう。
肩を震わせてやっと泣き始めた彼女は子供みたいだった。
ああ、これが彼女なんだ。強さの一枚皮が剥ければ、こんなにも脆いだなんて。
弱かった、本当に。
一人で立っていられないほどに。支えなければ折れそうな、花の茎のように。
心が金切り声をあげる。奥底から、彼女の悲しみに呼応するように。
なんたる悲劇。
彼女の悲しみとは最大にして最悪な、他者からの侵害だ。


