ヤンデレパーティー



「ありがとうございます」と受け取る朱耶にフォークを渡そうとする次――ふと、十束は玄関に目をやった。


「どうかしましたか」


「……、少し」


と、玄関に向かう十束。フォークを持ったまま、構えるように右手を引いて。


「朱耶ちゃん、ちょっと大変なのよぅ」


間延びした声とは違い、破壊神がごとく扉を開け放つ女がいた。扉の蝶番(ちょうつがい)が軋み、いっそ外れても良さそうな大仰ぶり。


そんな招かれざる客に十束は持っていたフォークで応戦した。


引いた右手を前へ、玄関に足を踏み入れた女の喉元めがけての刺突。


一秒にも満たない刹那の攻撃に。


「っ……」


女は反応した。

呻いたのは十束。いつの間にか、女は手を伸ばして十束の喉元――喉仏にごりっと何かを押し付けていた。