槍からしたたるイリイアの血が床へ。染み込み、黒い斑点を作る。
「生かしたくなった。生かすも殺すも同じ価値があると思っていたのだけど、“今はまだ”、君を生かす方が価値あると先ほどの光で再認識したのだよ。
君はまだ成長する。我が身を犠牲にしてまで、また力を得る。その中にはきっと――僕と“彼女”とを邂逅させる力だって。あんな光を、あちら側に近い温かい光をこちらに呼び寄せたのだから。
ああ、本当に。君には期待させられる。だから生かそう。神たる僕の審判であり、魔法使いたる僕の判断であり、友たる僕の救助だ。
ロンギヌスの生死選択を生かすに傾けられるのも、僕だからこそできるのだよ。そうして惜しみなくその力を発揮するのは、僕が君の友人だからだ。
君は僕の救済を与えるには十分に相応しい」


