「“死を貫く槍”(ロンギヌス)には二通りの意味がある」


イリイアには意識がないと分かりきっているのに、それであっても彼女は聞いているはずだとスプガウスは槍を引き抜いて、続けた。


「一つはキリストの生死を確認した時。死である結果を貫いて――“ずっと、不変で有り続ける死”を明白にさせる槍の一方で、それでもキリストは蘇った。

これが二つ目。“死を突らぬく槍”としてロンギヌスは、見事、キリストの死を――“死んだ事実を断ってみせた”。

もともとキリストは神であるからこそ蘇ったのだろうけど、僕の考えとしてはこのロンギヌスは刺した対象者の“生死を選択する”。

死を貫く、死んだままか、生き返るか。選択権はロンギヌスにあるが――僕は、君を生かしたい」