全てが計算外に終わったことにスプガウスは叫んだ。
蛇に命を移したのも、もともと蛇は蘇生材料としては命が馴染みやすい生物だからだ。
自食しても減らないウロボロスや、不死の水を飲んだとされる説もあり、もっと言えば、脱皮というある種の“生まれ変わり”の観点からしても、蛇は生き返りやすい器であった。
ならば最初から人間ではなく蛇を殺せとなるが、そこはスプガウスの知識があえて人間を選んだのだ。
神の降臨への供物は、いつの時代も人間。人柱や生け贄、動物である場合もあるが、人間の方がぐっと成功率が上がる。
今回スプガウスがやりたかった、あちらとこちらの道しるべにしてはだいぶ脱線しているが、様々なやり方を一挙に行う方が効率はいい。
もとより彼には、人間だからと躊躇するつもりはなかった。
「やはり“使い回しの命”では灯火が薄いのか。もっと多くの命を、供物を……!あらゆる儀式を、あらゆる手段を!
君の血なら、命なら、“彼女”も見てくれるかもしれない!道しるべとなってくれ、イリイア!架け橋の灯りとなってくれ!」


