前髪をかきあげて、歯を軋ませるほどに怒りを露に。
「なぜ“彼女”を抱きしめてやれない!僕がこんなにも“彼女”の肌を欲しているなら、“彼女”とて同じ、僕を抱きしめたいはずなのだよ……!
彼女を抱きしめられないは元より、その健気な願いさえ叶えられないとは――っ、ああっ、自身の腕をもぎたい!いっそう、肉体を捨てようともしたっ。だが、だがそれでは、“彼女”のもとにたどり着ける保証がなくなる。
今このときこそが、僕が“彼女”を唯一大きく感じられるとき、死などという後戻りができない終演を確証なしに実行するわけにはいかない。
故に私は、供物を捧げた。一度殺し、98人を殺し、それでも“彼女”が降臨しないから、蛇に命を移して、また98回殺した。“98回の螺旋”内で、あちらとこちらの行き来を明確に、“彼女”が迷わずこちらに来れるように、行き来(道)を作ったというのに……!」


