要は見方の話だね、とスプガウスはイリイアの体に這う蛇を見た。
「その蛇とて、キリストでは悪魔の化身と称されるが、別の宗派では神の化身とも呼ばれる。認識の違いであり、意識の見解だ。蛇は神にも悪魔にもなるし、もしくは材料ともなる。
僕はあいにくと、命しか操れないものでね。その蛇たちに入るのは灯火だけで、魂(感情)はない。
今風に言うなら、機械のバッテリーというところか?動かすエネルギーを与えても、随分と冷たいものしか出来上がらず、どれもが失敗作だ。
いやはや、98人もの供物があれば何かしらのことは起こると思ったが……」
独り言に近い苦労話に、イリイアは返答する気などなかった。
何せ、蛇が手で叩き落とせないほど絡み付く。


