「っ、や……!」
じとりと冷たい縄が手首に巻き付いた。
左手で叩き落とすわけだが、縄みたくぱさりとではなく、ぼとりと鈍く落ち――歯の隙間から漏れるようなか細い息づかいが耳についた。
イリイアの頭が、這いながらのっそりと近づく、冷たい線を思い浮かべる。
「蛇っ……」
分かった途端に、今度は肩に重苦しい冷たさが乗った。
手で落とすも、床一面に広がるような気配は消えない。
大小は計れないが、手と肩に乗ってきた蛇はイリイアの手首と同じ太さ。決して小さいとは言えない。
それらが散乱した破片を乗り越え、潜りとイリイアに近づいているようだった。
カラカラとなるのはガラガラ蛇の尾か、そんな猛毒性を持つ蛇が一匹でもいると分かれば、背中から冷や汗が出てきた。


