もとは金色だったとしても、七割は剥がれ、中の鉄が露に。外気に触れて酸化したか、錆となって赤鉄になるほど廃れていた。
唯一、綺麗と言えたのが矛だった。刃物として欠けていることも傷すらもない。
古い柄に新しい刃を接合したようにも思えたが。
「っ……!」
物を見ずに、感じるイリイアの体に鳥肌が立った。
槍とさえ分からないが、ふと気づけば、前に畏怖が出現したような。
畏敬にも近い、思わず膝をつきたくなるような存在感。
「見えなくとも分かるだろう?何せ、これはキリストの死を貫いた聖槍なのだから」
肘を曲げ、矛先を上に向けて状態でスプガウスは槍を見やる。


