ヤンデレパーティー



「……っ」


何も起きなかった。

一つも、欠片さえもイリイアに当たらず、嵐過ぎし静けさのように教会内は沈黙した。


どこにぶつかるかはランダムたる長椅子たちがイリイアに当たらない可能性とて十分にあったが――イリイアにはこれが作為的なことに思えた。


「何のつもりですか、スプガウス……」


“助けられた”。
命が助けられたならばそれは恩を感じることでも、相手が相手では死ぬよりも最悪なことをするために生かしたと思えてしまう。


怒りよりは屈辱的という悔しさが混じったイリイアの低い声を、スプガウスは一笑する。


「君をぜひ、誘いたいと思ってね」


陽気な声に相応しい無邪気な誘い。フレンドリー精神溢れたものでも、ここで言うべきではない。イリイアの警戒心がはね上がった。