意味をそのまま受け取ればの話だが。


少し長く話しすぎたかと調教師が壁から離れて、クルキに背を向ける。


「――ああ、調教師さん」


「何でしょうか」


自分の名前はそんな危ないものではないが、脱獄犯に名乗る気もないので調教師は訂正せずに首をクルキへと動かした。


「手錠一つ貰ってもいい?」


「いいですよ、一つくらい。――興味本意で聞きますが、誰に使うので?」


「彼女に」


「彼女を束縛ですか。もしくはずっと繋がっていようと両者の手を繋ぐとかで?」


「束縛なんかしないよ。俺は彼女が嫌がることはしない。その彼女が俺を愛して、ずっと一緒にいたいって言うから俺はそれを叶えるだけ。

手錠で互いに繋がなくても、俺たちは最早一心同体だから必要ないし」