「ほう、闇かい」
できあがったのは黒い拳だった。
握った指の形まで凹凸がきちんと再現されている。黒色で分かりにくい溝でも、拳は巨大。巨人の右手だけがその存在を主張していた。
「神の遣いとして闇を使うのはどうかと思うが。君の断罪も見ようによっては殺害だ。殺すにはやはり凶器がなければ。
もしくは歯には歯をよろしく、闇には闇をかな――ふふ、それではまるで、本当に私は悪人みたいだな」
減らず口がまだ舌から紡がれるらしいが、もうイリイアはスプガウスに付き合うつもりなどなかった。
本のページを開いたまま、相手の声により把握したその場所に狙いを定める。


