「あなたが神というのが間違いだ。あなたのはただの振る舞い。自称にすぎず、神であるからを言い訳に罪を犯している愚者ですわ」
「ふふ、そうだね、言っても信じないか。少なくとも、“君が信じる神とはこんなことはしない”だろうから」
『神は優しいと思い込む人間』と言われた気がした。
「僕とて元は人間だった。神となった今でも人間であった残り香はある。――だがね、僕は神になった。神を愛し、神に愛された存在に」
「神は全てを愛します」
「それは親が子を思う程度の好意なんだろう、君の言葉を借りるならば。ついで、人間にとっての神への愛など僕から見れば薄い。
無償の愛ではなく、神を愛すると言う裏には必ず、『救ってください』という祈りがあるはずだ。
平穏な人生を、平和な世の中を、君らが神に祈るのはいつも“自分たちのこと”。救ってくれるから好きでいる、だなんて本物の愛か?
勝手に祈り、勝手に救ってくれると信じ、それが叶わなかったとなれば人は必ずこう思う――」


