カトリックの教えは聖書だけではない。人が決めたルールもその中に練り込まれている。
伝統的であり、習慣を重んじる、善行を絵に書いたようなことを教えられるが――教えているのは人間だ。
男――スプガウスの言う通りだとは言いたくないが、確かにイリイアがここに来た理由は命じられたからだ。
神の啓示ではなく、人の命令により。
洗礼施行者(バプティスタ)たるイリイアはいわば、制裁役。一見すればシスター服のか弱き乙女だが、実力で言えば、男が百人かかっても敵わない力を持っていた。
今回のスプガウス制裁に彼女が選ばれたのは昔の友人だからとそんな縁繋がりはなく、単にそれだけスプガウスが危険だと――制裁役(イリイア)が足を運ぶほどだと判断したのだ。


