「それが傲慢だと言うのだよ。なぜ気づかない？いったいどうして、“神は人間に優しいモノだと思い込んでいるんだ”」
「それ、は……。優しき神ならば当たり前のこと。創造主たる我らが父は、皆に等しく愛を持っているのです」
「父であろうが不出来な子を疎むに決まっている。人間は不出来だ。とても醜く、産まれながらの悪だ。
ある宗派ではこの世こそが地獄と見ているそうだよ。ここにいる人は神に創造されながらも、罪人。産声をあげるのは産まれたことへの歓喜ではなく、地獄に落ちてしまったことへの悲嘆だ。
君が言う罪人なんだよ、そもそも人は。でなければ悪行など産まれない。
神の失敗作。そんなものを神が愛すると本当に思っているのかい」
