「覚えているとも、数えていたからね。昨晩、98人目を棺に入れたところだ」
声色だけで笑っていると分からせる男に、女は奥歯を噛みしめ、憤りを出す。
「なぜそうも……、殺人という大罪を犯しながら、笑っていられるのですか。神が嘆いておりますよ。今はそうでも、昔のあなたは――私が知る限りのあなたは、神を誰よりも愛していたではないですか」
憤りに混じる疑念。思い出の中の男は人々の見本になるような、神を手本として信仰溢れる善人だったはずだ。
あまりの変わりぶりに、ここに立っているのは別人と思いたいも――それなら男が、殺人を、“村人全員を殺戮した”ことを聞いた時からあり得ないと誰よりも否定して――


