「うん、こんなものか」
改めてミナナのタトゥーを目にしたあと、彼は焼き回しのようにまた抱きついてきた。
やけにきつい。本当に一体化でもしそうなほどに。ギリギリのところで息はできるが、ベタベタし過ぎだとミナナは彼の腕を軽く叩いた。
「ごめん、ごめん。嬉しくて」
「あなたはそんなことしか言いませんし、やりませんよね」
「当たり前だ。ミナナと一緒にいると、そんな気持ちしか出てこないんだから。言葉だって、そんなことしか言えない。気持ちの表現だって、“これ以外は思い付かない”よ」
緩めても抱きつく。どこまでも甘えたがりな子供に見える。
しかして彼の言い分からして、彼はミナナの前では“こんなことしかできないんだろう”。


