プリンター、もしくはコピーか。水を含ませたガーゼで柄の上をとんとんと、押しつけるように優しく叩く。


台紙が白から灰色になるほど水を含み、ある程度経った後に、彼は滑らすように台紙を剥がした。


「うわ……」


タトゥーシールを知らなかった身にしてみれば、かなりの驚き。


シールでイメージしたあのいかにも『貼ってます感』がなかったのだ。


転写だ、正に。
本物のタトゥーのように肌と同化した青薔薇がそこにあった。


「乾かすのは一分でいいらしいけど、念のため、数分置いてみようか」


乾いたガーゼで水滴を拭き取る彼。シールを貼るときもそうだが、やけに近い。


目線をミナナの腕に合わせているため、ミナナが見るのは彼の額上にせよ、彼の匂いが分かるほどに近かった。