男としてどうなんだと思いながら、以前に寸止め的なことをされたのを思い出し、『我慢できないのは私か』と頭を抱えそうになった。
「そういえば、本当にいくらしたんですか」
ゴミ箱底で見えないタトゥーシール。
無欲ではあるが、もったいない精神はある。貼るつもりはないがあんなに綺麗なデザインなら、何か別の用途でぜひ使いたいもの。
しかしてゴミ箱行き。値段を聞いたのはただの興味。何の意図もない何気ない説明で。
「28万」
「ぶはっ」
吹き出した。
「は、え、えっ、し、シールに、に、にじゅっ」
「どうしたの、ミナナ。しゃっくり?」
そんな時は息を止めて、あ、なんならキスして止めようか、と朗らかに言う彼の肩をがっしり掴んだ。


