彫り師に触らせたくない、しかして自分でやるわけにもいかない、でもペアルックを体に刻んであげたい。
彼は『ミナナが思って』と言ったが、一瞬たりとも思ったことなどなかった。
また彼の独断か。無理矢理に『彫る』と言われないだけマシなのかもしれない。
「さあ、ミナナ、脱ごうか。脱がせてあげる」
「なに危ないセリフ口にしているんですか」
貼るのは二の腕でしょうと、バスローブの腰ひもをほどく彼の手を叩いた。
「というか、貼りませんからね」
「え」
「そんなに意外ですか……。第一、あなたの青薔薇というのは私をイメージしてのデザインでしょう。それを私に貼り付けるなんて、どういうことですか」


