八木さん家の5人兄弟。


「おかえり。雪」

「ただいま。小夏くん。・・・へへ。いつも学校とかは私が帰るの早いから・・・おかえりって言ってもらうの初めて。何か嬉しいなぁ」

「・・・バカ」

 小夏くんはそう毒づくけど、口元がフっと緩んでいる。

 小夏くんのバカは・・・傷つかないし、むしろ・・・嬉しい。

 いや、Mみたいじゃん自分。


 なんていうのかな・・・バカが優しいっていうか。

 うーん・・・。


 分からないけど、小夏くんのバカは愛情がこもってる・・・みたいな?


「・・・映画、どうだったの?」

「よかったよ。小夏くんも見たかった?」

 座って、ショートブーツを脱ぎながら小夏くんに話しかける。

「・・・別に。映画自体はどうでもいいけど・・・・・・」

「・・・けど?」

「・・・何でもない」


 小夏くんの意味深な言葉を疑問に思いながらも、私はショートブーツを脱ぎ終わって自分の部屋に行く。

 ・・・と、その前に。


「ねぇ、小夏くん」

「ん?」

「今日の服・・・おかしくなかったかな?」

 私はワンピースのすそを、指でつまんで少し広げてみせる。

「・・・・・・可愛い」

「え!?」

「あのさぁ・・・聞いといてそういうこと言うわけ?」

「・・・意外だったから」

「普段は言わねぇよ」

「今日は・・・なんで?」

「さぁな」


 あービックリした。


 まさか、可愛いとくるとは思ってなかった。


 まぁまぁなんじゃない?

 がいいせんだと思ってた。



 ・・・油断してた。