八木さん家の5人兄弟。


 いきなり呼び捨てで呼ばれて、少し戸惑ってしまう。

 そんな、今日から兄妹だけど・・・。

 だけど、男の人にいきなり呼び捨ては・・・驚くし・・・・・・照れる。


「あ・・・呼び捨てイヤだった?」

 私の様子に気づいたのか、悠斗さんは少し失敗したなー・・みたいな顔をしている。

「あ、違います。・・・その、少し驚いただけです」

 おどおどと話して訂正。

 私の返事に安心したのか、悠斗さんはフっと笑う。


「よかった。オレのことは・・・悠斗でもいいし。・・・・・・お兄ちゃんでもいいから」

 遠慮気味に言われたお兄ちゃんという単語。

 悠斗さんは、また・・・失敗したなぁ。

 みたいな顔をして、次は顔を手で覆って恥ずかしがっている様子。


 お兄ちゃんという単語で、私とこの人は兄妹なんだなぁ・・・って確信させられる。


 ・・・よし。


「悠斗・・・おにい、ちゃん」

「・・・・・・何か、新鮮な感じ。弟は皆・・・悠斗としか呼ばないから」

「じゃぁ、私が言います。悠斗お兄ちゃん・・・じゃ、長いから。お兄ちゃん、だけでいいですか?」

「お兄ちゃんは、オレだけじゃないよ。巧だってお兄ちゃんじゃない」

「あっ・・・そっか。えと・・・」

「じゃ、オレだけお兄ちゃんって呼んで。後は呼び捨てとかくんづけとかで・・・」

「はい。お兄ちゃん」

 お兄ちゃんは、照れたように髪をぐしゃとしている。

 照れを押し殺したような目は、どこかそっぽを向いていて、頬はほんのりと赤い。

 あ・・・照れてるんだな。

 お兄ちゃんは大人っぽいって感じてたけど、可愛いとこもあるんだぁ。


「何、笑ってんの」

「えっ、笑ってましたか?」

「けっこうな」

「す、すいませんっ」

「謝るほどじゃないけど。じゃ、夜ご飯出来たら適当に呼ぶから・・・それまで荷物の整理とかしといて」

 お兄ちゃんは時計をチラっと見て、私にそう告げる。

 時計は4時を指している。

 私は、自分の部屋につまれた大量のダンボールを思い浮かべて、夜ご飯までに終わるか心配していた。